このブログについて
このブログは、
こちら品川区食文学研究会 (http://baroclinic.hatenablog.com/)
および
送電線ブルー (http://baroclinic23.blog130.fc2.com/)
から記事を抜粋したものです。
玉川上水を端から端まで走って見たものは
玉川上水は、東京都羽村市にある取水口から新宿区四谷の分水所まで全長で43kmあるそうです。フルマラソンの距離に似ていますね。
上水の水が流れる方向としては新宿御苑の端にある四谷大木戸がゴールですが、今回はここをスタートにして遡ります。
江戸時代に飲み水を供給するために引かれた上水だけあって、風情のある道が続きます。周囲の住宅街も落ち着いた雰囲気で気持ちよかったです。
とか書いていると長くなるので、今回の記事ではもうゴールにしてしまいます。
はい、途中で転んで泥まみれになったりしたけれど、羽村の取水口に着きました。
写真左側が多摩川、中央に取水の装置があり、右側が玉川上水の始点です。
さて、今回の記事で書きたかったのは、お酒のことです。
取水口の近くに、田村酒造場という所があります。
昼間は門が開放されていて、誰でも自由に敷地に出入りできます。
ここの田村さんの家は、江戸時代初期くらいから福生付近の名主だったそうです。
1800年代前半に領地内で井戸水を掘り当て、それを使って酒造りを始めたとのことです。良い水が出たのでお酒に「嘉泉」という名前を付け、現代まで続いています。
敷地の蔵の一つが製品の展示場になっており、なんとなく「ここで購入できるのかな?」と思うのですが、人はいなくて「購入をご希望の方は隣の事務所までおいでください」という張り紙がありました。
そこで事務所へ行ってみると、窓口から事務員さんが「ご購入ですか?」と尋ねてくださるのです。
販売員無しで、事務方が顧客と直に接するという、実践的かつコストダウンができる仕組みです。代々の名主から現在まで続く蔵元は、工夫を継続しているのだと思いました。
入手した酒をさっそく多摩川の河原でいただきました。
常温で飲むと、舌に液体が触れた感覚が無いくらい純粋で、後からアルコールの刺激、それからじわりと甘みがきます。まさに多摩川上流の澄んだ水を想起させる清冽な味でした。
透明な玉川上水の流れを横目に走り続け、終点でその地域の名主だった蔵元の造る、地元の水を使用したお酒を頂くなんて、はからずも散歩のストーリとしては上出来な流れとなりました。
河原の石に腰掛け、ジャージ姿で酒を飲む姿はやや異様だったかもしれませんけどね。